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20年ぶりに新紙幣が発行されました。新紙幣のデザイン変更の目的は「偽造防止強化」と「ユニバーサルデザイン」の導入と言われております。
昨今よく耳にする「ユニバーサルデザイン」について本日はご紹介いたします。
ユニバーサルデザインの名前の意味
『ユニバーサル』には『普遍的』という意味があり、身体能力の違いや年齢、性別、国籍などに関わらず、すべての人が利用しやすいように作られた『デザイン』のことを言います。
Universal Designの頭文字を取って『UD』と表されることもあります。
ユニバーサルデザインの歴史
『ユニバーサルデザイン』という言葉が生まれたのは1980年代ですが、1963年にデンマークにて『ノーマライゼーション』という近しい思想が提唱されています。
その後1990年に、アメリカにて「障害をもつアメリカ人法(ADA)」が成立。
障がい者への差別を禁止し、交通機関や公共施設は障害の有無にかかわらず使えなくてはならないことを定めたものです。これをきっかけに、すべての人が使いやすいデザインを提供しよう、という運動が広がりました。その中心となったのが、ロナルド・メイス教授です。教授が『ユニバーサルデザイン』を提唱・拡大しました。
日本でも、ユニバーサルデザインの考え方は広まっていきます。
1994年に施行された「ハートビル法」、劇場や銀行、ホテルなど誰もが利用する建築物において、高齢者や身体障害者が利用しやすい建物にすることを求めています。
2005年には、国土交通省が「ユニバーサルデザイン大綱」を発表。
これまでの対策に加え、心のバリアフリーなども考慮されるようになりました。
「東京オリンピック・パラリンピック」の開催にあたって、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が立てられる等、ユニバーサルデザインは年を重ねるごとに大きく活用されています。
ユニバーサルデザインの7原則とは
ユニバーサルデザインを理解する助けとなる、7原則をご紹介します。
ユニバーサルデザインの7原則
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誰にでも公平に利用できること
誰にでも利用できるように作られており、かつ、容易に入手できること。
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使う上で自由度が高いこと
使う人のさまざまな好みや能力に合うように作られていること。
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使い方が簡単ですぐわかること
使う人の経験や知識、言語能力、集中力に関係なく、使い方がわかりやすく作られていること。
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必要な情報がすぐに理解できること
使用状況や、使う人の視覚、聴覚などの感覚能力に関係なく、必要な情報が効果的に伝わるように作られていること。
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うっかりミスや危険につながらないデザインであること
ついうっかりしたり、意図しない行動が、危険や思わぬ結果につながらないように作られていること。
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無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
効率よく、気持ちよく、疲れないで使えるようにすること。
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アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
どんな体格や、姿勢、移動能力の人にも、アクセスしやすく、操作がしやすいスペースや大きさにすること。
(出典:国立研究開発法人 建築研究所 「ユニバーサルデザイン7原則」)
この7原則は、あらゆる人が利用しやすい製品や環境を設計するための指針です。
ユニバーサルデザインとSDGsの関係性
地球上の「誰一人取り残さない」という考えを持つSDGs。
このコンセプトとユニバーサルデザインには共通しているものがあります。
17の目標の中では主に、次の3つと関係が深いです。
・目標4「質の高い教育をみんなに」
人種、性別、立場、経済力などに関わらず、すべての人が学べる環境を整えることを掲げています。学習環境を快適にしたり、教材に点字を設けるなど、工夫は多々ありますが、ユニバーサルデザインで解決に繋げられる目標です。
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
性別、年齢、障がいの有無、国籍、人種、宗教、難民、性的マイノリティなどの不平等があります。多様性を認め、すべての人が活躍できる社会を目指す目標です。
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
誰一人取り残さない、持続可能なまちづくりを目指す目標が11です。
項目の中には、
11.2「脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障がい者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する」
11.7「女性、子ども、高齢者及び障がい者を含め、人々に安全で包括的な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する」
とあります。
これらを達成するにはユニバーサルデザインの力が必要なのです。
UDフォントとは
多くの人に分かりやすく、読みやすいように工夫されたフォントのことです。
主には、濁点を大きくしたり、文字内の空間を広げたり、ひらがなの「はね」などをなくしたりするなどの工夫がされています。
高齢者や識字障がいを持つ方にも読みやすい書体として開発され、印刷物や看板、標識、パソコンやスマホなどに記載された文字から情報を得るために大きな役割を果たしています。
最後に
弊社ではNPO法人メディア・ユニバーサルデザイン協会が認定する[MUDアドバイザー]保有資格者が在籍しております。
印刷物やデジタルの媒体を通して、上記のユニバーサルデザインの活用をご提案しております。
ユニバーサルデザインについてご相談などぜひ弊社へお問い合わせください。